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7月29日、”感謝のつどい”を盛大に開催三陸ハーネス争議、中労委で和解
7月29日、“感謝のつどい”を盛大に開催
「協立ハイパーツ及び住友電装は、三陸ハーネスの工場閉鎖に伴なう労働者の雇用確保、生活保障に関する団体交渉に応じなければならない」
昨年六月、宮城県労働委員会は宮城一般労働組合が申し立てていた不当労働行為救済申立について、親会社の協立ハイパーツはもとよりその親会社の住友電装にも団交応諾義務があるという、かつて前例のない画期的な勝利命令を出しましたが、協立と住友はこの命令を不服として中央労働委員会に再審査申立を行なっていました。
6月12日、中央労働委員会で「三陸ハーネスの会社解散は三陸自身が決めたものであり、何ら責任はない」と一貫して主張してきた親会社側にその責任を認めさせ、和解が成立しました。
過疎化が進む宮城県南三陸町という小さな町で起きたこの争議が、大企業に責任を取らせた意義は極めて大きく、全国の皆さんとともに獲得した勝利です。
7月29日、この勝利解決の報告会を兼ねた「感謝のつどい」が仙台で盛大に開かれ、争議団と、全国一般各地本や県内労働組合をはじめ、学者、弁護団、支援する会の方など170名以上が集まり、互いに解決を喜び合いました。
尚、このたたかいの経過や意義をまとめた報告集を作成し、これまでご支援いただいた多くの団体・個人に配布しました。
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※ 写真↑高画質1.29MB(写真専用紙印刷可)
以下は6月14日付 しんぶん赤旗の記事全文です。
三陸ハーネス争議 中労委和解 仙台で報告集会 住友電装に責任
住友電装とその子会社の協立ハイパーツ(岩手県一関市)によって一方的に閉鎖され、全員が解雇された自動車部品製造会社の三陸ハーネス(宮城県南三陸町)争議は12日、中央労働委員会で和解が成立しました。
和解成立の報告を受け、仙台市で記者会見した菊地修弁護士は、「親のまた親会社に使用者としての責任を認定した初めての事例だ」と意義を強調。小野寺義象弁護士は、「和解金も含め住友電装が調印したことで自らの責任を認めたものだ」とのべ、住友電装の関与について明確に指摘しました。
争議団の佐藤あや子さんは、三年三カ月のたたかいを振り返り、「県労委の命令が財産になった。私たちと同じ境遇にある多くの人たちへの励ましになる」と語りました。
記者会見後の報告集会で、支援する会の伊藤博義代表は、「争議団18人が団結してたたかって勝ちとった勝利だ」と強調し、ひきつづき地元で働けるよう支援を継続するとのべました。
日本共産党の横田有史宮城県議は、県が誘致した企業にたいする責任として、副知事や議長、地元町長らと仕事が確保できるよう企業を誘致することを働きかけているとのべ、激励しました。
2005年に住友電装と協立ハイパーツが生産拠点を海外に移転するために孫請け会社を閉鎖したために起きた争議で、協立ハイパ-ツなどは、工場の閉鎖は三陸ハーネスが自主的に決定したものとして、労働組合の団体交渉に一切応じてきませんでした。
昨年6月12日、宮城県労働委員会は、住友電装にも使用者としての責任があるとして、団体交渉に応じるように命令を出していました。
全労連・全国一般労働組合中央本部
全労連・全国一般宮城一般労働組合
三陸ハーネス争議弁護団
三陸ハーネス争議を支援する会
三陸ハーネス争議は、本日(6月12日)中央労働委員会において、親会社・協立ハイパーツとその親会社・住友電装との和解協議の結果、勝利的和解が成立しました。
この争議は、住友電装の孫会社であった三陸ハーネス(株)が、住友電装の経営戦略に従って生産拠点を海外に移転するために発生したものです。
この会社解散によって、解雇された18名の労働者が「会社解散・解雇は納得できない。住友電装の横暴は許せない」としてたたかいに立ち上がり、全国のなかまの支援を受けながら2年8ヶ月にわたって闘い続けた争議です。
争議団のたたかいは、住友電装と協立ハイパーツが「三陸ハーネスは別会社であり、解散は三陸ハーネス自身が決めたもので、自分たちの関知するところではない」と親会社としての責任逃れをしたことに対してその社会的責任を果たさせるたたかいでした。
たたかいは極めて困難なものでしたが、昨年6月12日、宮城県労働委員会が下した「住友電装の使用者責任」を認定した画期的な勝利命令を力に、全国的な住友電装・住友電工包囲行動など広範な世論に働きかける粘り強いたたかいによって、住友電装に争議解決の決断をさせたものです。
この争議は、争議団18名が大企業の横暴に対して泣き寝入りすることなく、労働者としての尊厳をかけて全力で闘ってきた争議です。
たたかいの途中で争議団の一人が自ら命を絶つという悲しい出来事がありましたが、争議団はそれを乗り越えてたたかい抜きました。
今回の解決を実現した第一の要因は、親会社による閉鎖が明確なのに子会社に責任転嫁したことに対する怒りを組合員が持ち続け、一人も脱落せず最後までたたかう力となったことです。
第二の要因は、全労連・全国一般の各地方組織、全労連傘下の労働組合、東京争議団など、全国の多くの仲間の皆さんが要請行動に駆けつけたり、たくさんの団体署名を寄せるなどして、住友グループに争議の早期解決を迫っていただいたことです。
とりわけ、地元宮城県内の労働組合・民主団体・学者など多くの方々が「三陸ハーネス争議を支援する会」を結成し、世話人会を中心に適切な活動計画を立案し、節目での決起集会を成功させるために奮闘するなど、さまざまな局面で争議団を励まし、たたかいを支えてくれました。
第三の要因は、「大企業の海外進出・移転」による雇用切捨てに対して、良心的な多くの労働法学者や経済学者の方々が意欲的に学問的理論展開を行い、裁判・労働委員会に意見書を提出するなど全面的協力をいただき画期的な労働委員会命令を獲得する大きな財産を築いたことです。
そしてもう一つの大きな要因は、争議財政確立のための物資販売や「闘争勝利債券」に多くの組合・団体・個人から申し込みをいただくなど、財政面でも大きな協力があったことです。
こうした財政的支援があったからこそ2年8ヶ月もの長期のたたかいを続けることができたのです。
最後に、宮城県南三陸町の過疎化の進む町での工場閉鎖問題を「地域経済を守る」観点から議会質問などで国民世論に訴えていただいた国会議員、自治体議員の皆様にも謹んで感謝を申し上げます。
また、私たちの争議を自らのたたかいと受け止め、ご支援いただきました全国の労働組合、民主団体、個人の皆さんに重ねて感謝を申し上げ、争議解決にあたっての声明といたします。
2008年6月12日
声明文(印刷用) (18KB)
支配あるところに責任あり
三陸ハーネスを支援する会 代表世話人 伊藤 博義
三陸ハーネス・協立ハイパーツ・住友電装の三社は、住友電装が株式保有・役員派遣・専属下請関係を通じて協立ハイパーツを支配し、協立ハイパーツが株式保有・役員派遣・専属下請関係を通じて三陸ハーネスを支配している典型的な親・子・孫会社の一体的な企業関係にあった。
したがって、孫会社である三陸ハーネスの会社解散・全員解雇の決定権を有するのは、唯一、親会社の住友電装であり、事実、住友電装の海外進出の経営戦略にもとづいて、三陸ハーネスの計画的な工場閉鎖が実行されたのである。
他方、労働者には憲法上の基本的人権として団体交渉権が保障されているが(憲法28条)、これは、当該労働者の雇用その他の労働関係に「実質的な支配力」を行使し得る地位にあって、団体事項について処分権限を有するものに対して、「使用者」としての団体交渉応諾義務を負わせているのである。
要するに、三陸ハーネスの労働者が住友電装の社会的・法的責任を追及している闘いは、労働者として、かつ、人間として、絶対に譲れない人権闘争なのである。
リンク先は です。
№ |
発行年月日 |
タイトル |
サイズ |
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17号 | 2008年4月10日 | 4・8勝利解決をめざす決起集会 | 50KB |
16号 | 2008年3月19日 | 住友電工・電装東京本社へ要請行動を実施 | 32KB |
14号 | 2008年1月21日 | 東京本社行動のご協力、ありがとうございました 闘争勝利債権6,342万円達成! |
26KB |
13号 | 2007年12月5日 | 東京本社前での座り込み、多くの皆さんの協力で成功! 「闘争勝利債権」協力の申し出が続々届いています |
25.8KB |
12号 | 2007年11月19日 | 三陸のたたかいは、子供たちに誇りを持って語れるもの | 26.8KB |
10号 | 2007年9月12日 | 全国一般大会で佐藤あや子書記長が特別報告 | 49KB |
9号 | 2007年9月7日 | 損害賠償請求裁判で更新弁論 | 47KB |
4号 | 2007年1月11日 | 最終陳述にて使用者責任問う | 332KB |
3号 | 2006年11月25日 | 労働委員会の和解協議、打ち切り 会社側の不誠実な対応で 裁判は住友電装社長の証人尋問へ! |
147KB |
2号 | 2006年10月12日 | 重要な局面を迎える2つの闘い | 119KB |
1号 | 2006年9月26日 | 「住友電装・協立ハイパーツ」の主張は、完全に破綻! 三陸ハーネス潰しの「真犯人 住友電装」は、逃げ隠れするな! |
83.4KB |